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人生を楽しくしてくれるもの = 一枚板の魅力

公開日 2020/03/01 更新日

今日は最近ますます人気の高まっている天然木一枚板のテーブルについて、

選び方のポイントについてのお話をします。

 

 

一枚板と言えば、一生に一度は使ってみたい家具の一つですよね。

 

「一生に一度は」と言っても、

一枚板は一度お求めになると一生お使いいただけます。

 

なので「いつかは…」と考えていらっしゃるお客様は、

早くお求めになってしまったほうが良いです。

 

なぜなら使う時間が長いほど、お得だからです。

 

10万円のものを10年使えば1万円/1年。

同じものを5年しか使わなかったら2万円/1年、

という計算ができます。

 

お金の話だけではなく、

使えば楽しめた5年間も放棄してしまっているので、

「二重の損」とも言えます。

 

セールストークの常套手段のようですが、

これは事実ですよね。

 

 ▲製材所の様子。お好みの樹種やサイズがございましたらお探しすることができますのでお問合せください。

 

さて、「すごく欲しいけど、知識がないのでどうやって選んだらいいか分からない」

というお客様のお声をよく耳にします。

 

でも答えは意外と簡単で、

要は「フィーリング」です。

 

例えば「栃」(とち)という木があります。

 

全体に明るい色合いで、木肌が滑らかなのが特徴で、

ついつい触れて、撫でたくなるような風合いを持っています。

 

同じ栃であっても、もちろん一枚一枚その表情は大きく異なっていて、

様々な形や色合いがあります。

 

 ▲長さが2700mmもある栃です。

 

生木としての栃は、

四方八方に大胆に太い枝をくねくねと生長させる性質がありますので、

一枚板として完成させた製品も、

中には大きく弧を描くように曲がっているものがあります。

 

色も白っぽいものから赤みが強いものまで表情が様々です。

 

いわゆる「木材の目利き」と言われる人たちは、

「栃は真っすぐで白っぽいものが価値が高い。

曲がってるのや赤いの、黒い筋の入ったものはダメ」なんて悪口を言ったりします。

 

確かに白くて、

リップルマークと言われる栃独特のさざ波のような杢目が出現したもののほうが価格は高く、

極端に曲がっていたり、表面に凹みのあるものなどは、

減点ポイントとして、やや安くなっていると思います。

 

でも私たちがその一枚板を目にした時、

必ずしも真っすぐで白いものに魅かれるか、というと…

 

そうとも言えませんよね。

 

例えが良いか分かりませんが、

八重歯をチャームポイントと考える人もいるし、

矯正しなきゃ、と思う人もいますよね。

 

つまり私たちには

一部のプロ=目利きによる基準で判断することは不要、

ということなのではないでしょうか。

 

いわゆる「目利き」と同じ価値基準で結論を得ようとするので、

選ぶのが難しくなってしまうんですね。

 

その板が、

 

①使い方の目的に大きさが合っていて、

②表情が魅力的で、

③予算に合っている。

 

この3点が揃えば、

それが正に一生を共にする一枚なのではないでしょうか?

▲栃の心材は時に赤みを帯びています。 

 

ここで②はそれぞれの方の感性の世界で廻りがとやかく言う問題ではないですし、

③についても、またお一人お一人、様々だと思いますので、

この2点は取り敢えず横に置いておいておきます。

 

一方で、①のサイズと価値の関係については客観的な部分が大きいですから、

①について取り上げて少しだけ触れておきます。

 

当たり前ですが、板には「長さ」「奥行き」「厚み」の3つの寸法があります。

 

他の条件が等しければ、

この3つの寸法のうち、価値により大きな影響を与えるのは

奥行きと厚みです。

 

長さが長いと、いかにも立派に見えます。

 

しかし木は縦方向(垂直方向)にはすくすくと伸びていきますが、

同じ時間を掛けても横方向(直径方向)には

僅かずつしか太っていきません。

これは簡単に想像がつきますよね。

 

しかもテーブルとして使い勝手の良い奥行きとなると、

例えば直径100cmの大木では、

その中心に近い部分でのみ十分な奥行きを得ることができ、

中心からずれれば、見る間に奥行きは小さくなってきてしまうんですね。

 

ですので充分な奥行きは、その板の大きな価値の一つですし、

大きすぎなければ実際、我々も使い勝手がいいのではないでしょうか。

 

工業製品としてのダイニングテーブルの奥行きは

使いやすい80cm~90cmになっていますので、

一枚板もこのくらいの奥行きのものが人気がありますが、

量的には細いものに比べてやはり希少ですね。

 

▲「奥行き」は一枚板の大きな価値です。写真は楢(なら)の年輪です。

 

また「厚み」も意外と軽視されがちですが…

 

24cmの厚みの原木から、

4cmの厚みの板を6枚とるのと、

6cmの厚みの板を4枚とるのとでは、

1枚の単価は単純に1.5倍違いますね。

 

正面からだけ見たら同じように見えるのに、です。

 

また、あまり薄い木取りは、

後々、反ったり割れたりの原因を作ることにもなってしまいます。

 

 ▲モンキーポッドの荒材。前述の奥行きについて、分かりやすいと思います。

 桟木を挟んで風通しを良くし、数年自然乾燥した後、人工乾燥機で適正な含水率に調整します。

含水率調整は非常に需要な工程ですが、お求めになるときには残念ながらお客様には見えていません。

 

ここで、先ほどの一枚板を選ぶときのポイント①~③は、

もちろん、長期間テーブルとして使用することに耐えうる乾燥と含水率調整を

しっかりと行っていることが大前提なのですが、

この点は今回の話題とは異なりますので、別の機会に。

(でもとっても重要なところなので、店頭では十分ご説明しますね)

 

 

さて、まだまだ話し足りない感じではありますが、

工業生産品にはない「出会い」を求めて、

魅力に満ちた一枚板の世界、一度覗いてみてはいかがでしょうか?

 

そしてぜひ、お気に入りの一枚で毎日の食事を楽しんでください。

 ▲ウォールナット。栃とは対照的な荒々しい木目が特徴です。

 

 

一枚板は、

 

心を豊かにしてくれるもの。

人生を楽しくしてくれるもの。

家族の絆を深くしてくれるもの。

 

そんな道具の一つだと思うのです。

こんな道具、世の中にあまり多くは存在していませんね。

 

 

2020.3.1 インテリアコーディネーター(950487A) 小川登志洋

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